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北川フラム氏講演会レポート

04年3月19日(金)「まちをアートで元気に…」

入間市文化創造アトリエ「アミ−ゴ」に北川フラム氏をお招きし、「まちをアートで元気に…」をテーマに講演会が催されました。この講演会は、昨年の越後妻有アートトリエンナーレを見学し興味を持った市民有志が中心となって実行委員会を立ち上げ、入間市・入間市文化創造委員会との共催で開催されたものです。

北川フラム氏講演会告知ページ

開演前の会場風景

開演前の会場風景
▲開演前の会場風景

<会場:入間市文化創造アトリエ>

当日、会場には定員50名の参加者と、実行委員、関係者を含め70名近くの参加があり、北川フラム氏講演会への関心の高さがうかがえます。
参加した方達は、市内や隣接市に在住の人が中心で、ご自身も創作活動をしている方が多かったようです。「まちをアートで元気に…」というテーマに興味を持って参加したという方がほとんどでした。(アンケート結果より)

講演会では、これまで北川さんが取り組んでこられた「越後妻有アートトリエンナーレ」のコンセプトや実施に到る迄の経緯、現在の美術界の現状、アートが人と人、地域と地域を結ぶ力となりうる可能性等について実例を上げながら、分かりやすくご説明頂きました。

講演会

講演会開演
▲講演会開演
北川フラム氏より講演会開催のあいさつ
▲北川フラム氏より講演会開催のあいさつ
会場の様子
▲会場の様子

<講演の内容>

明治時代の洋画の導入以来、美術は国家との結びつきが強かったことから教養的な部分があり、他の音楽、演劇、文学等と違い、個人のファンを持たないままで成立しているところがある。そのため美術は、日常生活から遠く離れてしまった。また音楽や文学等と違い、美術では共有できる同世代観(同時代観)のようなものが持てず、独特の価値観を有し独立している。また美術については、一般的に好き嫌いではなく、分かる分からないといわれ、音楽のように日常的に生活の中に取り入れられる事がほとんどない。
しかし、アルタミラやラスコ−壁画の時代から、絵を描く事は、人間にとって最も古くからの友達のようなものだったと思う。(描かずにいられない、伝える事で人と人、場所と場所が結ばれたのでは…。)また西欧社会では、広場という空間があり、公共という感覚が古くから根付き横のつながりがあるが、日本は縦割り社会で政治、経済、家庭、市民が横への繋がりをほとんど作ってこなかったという現状がある。そのような中、アートには人と人、場所と場所をつなぐ力があるのではないだろうか。

越後妻有の場合、過疎化や高齢化、農業の衰退等で地域に元気がないという現実と町村合併という課題がある。改めて地域の魅力を探してみよう→「素敵発見」という呼び掛けで、妻有には1500年もの長い間、大地と関わってきた結果としての棚田と美しい里山の風景があることを再認識した。→アーティストは、妻有の地域と多様な視点で向かい合い何か(今は見えない歴史や人の営み)を発見する。アートを媒介として、市民自身が参加した瞬間に美術は自分自身のものになるのでは…。(首都圏のアーティストや学生という、180度違う存在との出会いと関わりがきっかけとなっている)
そのサポートの為に学生ボランティア(こへび隊)や市民ボランティアが熱心に参加している。
「大地の芸術祭」は、地域起こしというより、そのきっかけつくりと考えている。また、地域住民の持つ豊かな経験や知識、智恵を結集した研究や情報センター等、広域に拡がる野外美術館&博物館の機能を合わせ持った芸術祭となっている。

   
スライドによる作品紹介
▲スライドによる作品紹介

<スライドによる作品紹介と解説>

各々の地域には、特有の歴史と長年蓄積されてきた智恵や技術、豊かな経験がある。サン=テグジュペりから(ひとつの灯りの元には各々の家庭があり、かけがえのない家族が生活し、各々に歴史があることをわすれてはいけない。)第2回を終り、アーティストが関わりながら地域の人々の横のつながり(協働)ができ、合理性だけではないという価値観に気付き始めていると思う。今後それぞれの地域が自立していくための活動を続けて行く事になると思う。

大地の芸術祭パネル展示

会場の様子
▲大地の芸術祭パネル展示

会場には、越後妻有アートトリエンナーレのパネル展示コーナーが設けられ、開演前や終演後、参加した方達が熱心に見入っていました。またパネル展示の他にも、'00年アートトリエンナーレ作品集や現代企画室出版のアート関連書籍の販売、'03年アートトリエンナーレ作品集の予約申込みも行なわれました。

懇親会

懇親会の様子
▲懇親会の様子

講演会後、北川さんを囲んでささやかな懇親会が開かれました。
お料理は、実行委員や賛同頂いた皆さんの心尽くしの手料理で、差し入れのワインや飲み物も並べられました。講演会に参加した方のうち40名近くの方が出席し、北川さんと和やかに歓談していました。また、アートトリエンナーレを昨年見に行けなかった方達から是非「越後妻有バスツアー」をという要望も出され、4月上旬、早速実行委員の田中さんが企画して下さいました。(5月末予定)

参加者の感想

<今回の講演会の感想>

・今迄見た事のないジャンルを見る事ができた。
・こんなアートの視点があるのかと驚いた。美術に対する考えが変わったような気がする。
・できる迄の苦労話が一部聞けて楽しかった。昨年見学したが、見落としたものもあるのでまた行きたい。
・話も上手で面白く聞かせてもらった。地域文化の向上に役立つ良い企画だと思う。
・面白かった。妻有へ行ってみたいし、入間でもこんなアート展ができるといいと思う。
・自然とアートの共生が素晴らしい。
・広やかな人々とのコミュニケーション、それがアートの一つの事。一人で美しさを実現する日本画家として興味がある。孤独である事、それが広い共通の人間性に繋がると信じています。
・2000年の妻有アートトリエンナーレに行った方からお話を頂き、写真を見せてもらった時には、アートとは何か、これだけの芸術家が参加するパワーは何故かと良く分かりませんでしたが、今日のお話で実際の現場のお話が聞けてとても楽しく、アートへの広い意味を再認識できた。
・世界観の大きな話が聞けて大変良かった。アートに関して新しい概念を知る事ができました。
・楽しかった。元気になりました。北川さんのリラックスした雰囲気が素敵でした。

講演会の感想

今回の講演会を開催できて、本当に良かったと実感しております。「まちをアートで元気に…」というテーマは、ある意味とても大きすぎるテーマではないかと不安もありましたが、この「大地の芸術祭」は、アートを媒介に自分の住むまちの歴史や固有の文化を、住民自らアーティストとの協働によって、改めて知る事だと気付きました。そこへ到る道のりは、たいへんな情熱と根気強い対話が必要とされる厳しい道だとも思いました。しかし、それぞれのまちを故郷として育つ次代の子供達に、語り継ぐべき歴史や文化は必ずその土地に存在すると思います。
その掘り起こしの一つの媒介として、アーティストの視点を通した住民参加の協働という方法が、この入間市でもできればと思います。この講演会に参加した方々それぞれが、この課題を持ち帰り、日頃の活動の中でテーマとして取り組んで頂けるきっかけとなれば幸いです。
文責:小原 恵利子